本を購入するときは、何を重視して選びますか?内容も重要ですが、「見た目」って本に興味をもつきっかけになる場合もあります。私は、表紙や帯に惹かれて本を購入するケースが多いです。
そこで今回は、装丁が美しい本6選を紹介します。実際に装丁が好みで読んでみたら、内容にも惹かれた小説をまとめました。
本を読むきっかけを探している人は、ぜひ最後まで読んでみてくださいね。
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本の装丁とは?
本の「装丁(そうてい)」とは、表紙・背表紙・裏表紙・帯などの本の外側のデザインのことを指します。本の中身ももちろん大切ですが、本を手に取ったときに装丁はいちばん最初に目に入る部分。そのため、本の「顔」にもなるのが特徴です。
本やDVD、CDを中身を全く知らない状態で見た目に惹かれて購入する「ジャケ買い」という言葉があるように、装丁は購買意欲を左右する場合があります。
装丁(表紙)のデザインおしゃれな本は読むきっかけになる
装丁のデザインがおしゃれな本は、読みたいと感じるきっかけになります。たとえば、「表紙のイラストが自分好みなので部屋に飾りたい」「帯のキャッチコピーに惹かれた」などが理由で本を購入したことがある人もいるのではないでしょうか。
本を読むきっかけは、なんでもOKだと思います。とくに装丁が好みな作品は持っているだけで気分が上がるので、本選びのひとつの基準にしてみてもいいかもしれません。
装丁が美しいおすすめ本6選
ここからは、装丁が美しいおすすめ本6選を紹介します。
装丁が美しい本①「黄色い家」川上未映子

黄色が目を惹く装丁の「黄色い家」。実際に物語のなかでも、黄色がキーポイントになっています。
また、黄色とコントラストが美しい紺色も物語と関係しているのがポイント。読んだ人ならわかる「主人公の宝物である紺色の靴箱をイメージしているのだとか。
物語と関係している装丁は、読み終わったあとも表紙を見ると余韻に浸れるのが魅力です。
「黄色い家」のあらすじ・感想

17歳の夏、親元を出て「黄色い家」に集まった少女たち。
生きていくためにカード犯罪の出し子というシノギに手を染めるようになる。危ういバランスで成り立っていた共同生活は、ある女性の死をきっかけに崩壊していく…。
普通の生活から外れてしまった少女たちの物語です。生きていくために、悪気なく犯罪に手を染めていく姿が恐ろしい。
人はなぜ犯罪を犯すのか、リアルに描かれた1冊です。
\「黄色い家」を音声で聞く/
「黄色い家」を読んでみての感想はこちら
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装丁が美しい本②「ブルーマリッジ」カツセマサヒコ

「ブルーマリッジ」の装丁は、カバーに半透明のシートを使用しているのが特徴的。作者によると、「結婚という一見煌びやかなヴェールを外したとき、そこには美しさだけではない生活と現実があること」を表現しているのだとか。
半透明のカバーを外すと、くっきりとプリントされた景色が出てきます。カバーが付いた状態は、題名の「ブルーマリッジ」の通り結婚前のモヤモヤする気持ちを表しているように感じられる1冊です。
「ブルーマリッジ」のあらすじ・感想

3歳上の彼女にプロポーズをした青年・雨宮守。長年連れ添った妻に離婚したいと告げられた中年・土方剛。
夫婦であること、家族であること、働くこと、生活すること、傷つけること、生きること。
過去からも未来からも逃れることのできない世の中で、それでも光を求めて彷徨う者たちの物語。
現代の背景を描いた作品です。悪気なく人を傷つけてしまっているかもしれないと、自分に問いかけながら読みました。
育った時代や世代の習慣が体に染み付いていて、現代にあわせて生きるのが難しい人もいるのだと考えさせられます。
装丁が美しい本③「生殖記」朝井リョウ

光の当たり具合によって色が変わる装丁をしているのが「生殖記」。本の角度を変えてみると、題名の生殖記という文字がグレーや虹色のように見えたりします。
また、注目したいのが帯にある「ここまで長かったね。」という言葉。世間の「普通」に違和感を覚え本当の自分を隠すように生きてきた主人公の姿を読んだあとに、この言葉を見ると重みのある一言に感じます。
「生殖記」のあらすじ・感想

とある家電メーカーの総務部に勤務している尚成は、「いまよりもっとを追求する」欲がなく寿命を効率よく消費するために生きている。
そんな尚成の生き方を、尚成の生殖本能目線で描いた物語。
出世したり子孫を残したりすることに意欲がない主人公・尚成が、本当の自分を隠すように生きていく姿が描かれています。
「いまより発展し続けること」が正しいとする世の中で生きづらさを感じている人は、きっと救われそうな1冊。
「生殖記」を読んでみての感想はこちら
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装丁が美しい本④「汝、星のごとく」凪良ゆう

「汝、星のごとく」は、華やかで目を惹く装丁をしています。とくに、注目したいのがカバーを外すと出てくる暗闇に光る星空。
物語中にある「光る星がひとつ瞬いていた。」という文章の通り、ひとつだけ大きな星がプリントされています。これは、17歳の主人公たちが眺めていた夕星を表現しているのかもしれません。
「汝、星のごとく」のあらすじ・感想

瀬戸内海の島で育った高校生の暁海(あけみ)と自由奔放な母の恋愛に振り回され島に転校してきた櫂(かい)。
ともに心に孤独と欠落を抱えた2人は、惹かれあい・すれ違い・成長していく…。
恋愛要素だけでなく、「思春期から大人になるまでの心境の変化」や「いまの社会の風刺」などが細かく描かれています。
繊細な表現が印象的な1冊。重めの内容ですが、共感できる部分がたくさんあって泣けます。続編の「星を編む」もおすすめです!
\「汝、星のごとく」を音声で聞く/
装丁が美しい本⑤「人間みたいに生きている」佐原ひかり

女子高生のイラストが印象的な「人間みたいに生きている」。光が顔に当たる様子や髪の毛1本1本がリアルに描かれています。
表紙を手がけたのは、「急行2号」というイラストレーターです。繊細なイラストなので、じっくり見たくなります。
「人間みたいに生きている」のあらすじ・感想

「食べること」を嫌悪的に感じている女子高生・三橋唯。
「食べること」と「人とのつながり」はあまりに分かちがたく、自分を否定するしかなかった唯。そんな彼女が初めて自分の居場所を見つけたのが、食べ物の匂いがしない「吸血鬼の館」だった。
そこには、病気で人間の血液しか食べられない少年が住んでいて…
「食べる=幸せ」と考える人が多いなかで、他人から理解されない悩みを抱える唯。私も、大人数での食事会や飲み会が苦手なので、食事を楽しめない気持ちに共感できました。
苦手なことに悩んでいる人は、共感できそうな作品です。
「人間みたいに生きている」を読んでみての感想はこちら

まとめ
今回は、装丁が美しい本6選を紹介しました。どれも装丁に惹かれて購入した小説なのですが、とくに「ブルーマリッジ」がお気に入りです。薄い半透明のカバーを使用している繊細なデザインが珍しくて、思わずパケ買いしました。
ときには見た目で本を選んでみると、また違った出会いがあるかもしれません。