小説「同姓同名」のあらすじや登場人物を解説！面白ポイントや感想も紹介

下村敦史さんの「同姓同名」というミステリー小説を読んだことはありますか？題名の通り、同姓同名の人物が20人近く登場します。頭が混乱しそうになりますが、新しい読書体験ができる作品です。

そこで今回は、「同姓同名」のあらすじや登場人物である20人の大山正紀の特徴を解説します。「ミステリー小説が好きな人」「SNSの炎上が題材になったイマドキの作品に興味がある人」は、ぜひ参考にしてみてくださいね。

＼今回紹介する小説／

小説「同姓同名」ってどのような作品？基本情報

最初に、小説「同姓同名」の基本情報を紹介します。

「同姓同名」のあらすじ

大山正紀という人物が女児をバラバラに殺害するという残虐な事件が起きます。犯人は、16歳の未成年の少年でした。

未成年の場合、加害者の実名や顔写真を報道することはできません。しかし、週刊誌に名前が載ってしまいます。

犯人の顔を知らない世間は、「大山正紀」という名前に対して悪いイメージを持つように…。そして、犯人と同姓同名の大山正紀たちは、不自由を感じるようになります。

「同姓同名」の出版社

「同姓同名」の出版社は、幻冬舎です。そのほかの情報は、以下の通り。

「同姓同名」の登場人物｜20人の大山正紀を解説

「同姓同名」には、題名の通り大山正紀という同姓同名の人物が20人ほど出てきます。

1人目の大山正紀	大山正紀により殺害される
2人目の大山正紀	大山正紀を殺害する
3人目の大山正紀	「女児殺害事件」の犯人
4人目の大山正紀	サッカー部の将来有望な 高校生
5人目の大山正紀	幼児好きのロリコン
6人目の大山正紀	コンビニバイトをしている
7人目の大山正紀	いじめにより 引きこもっている
8人目の大山正紀	アニメ風のイラストを描くのが趣味 「キモオタ」といわれいじめを受けている
9人目の大山正紀	コミュ力があり人気者 8人目の上位互換の大山正紀
10人目の大山正紀	”大山正紀”の同姓同名被害者の会に参加 細目が特徴的
11人目の大山正紀	”大山正紀”の同姓同名被害者の会に参加 団子っ鼻が特徴的
12人目の大山正紀	”大山正紀”の同姓同名被害者の会に参加 家庭教師をしている
13人目の大山正紀	”大山正紀”の同姓同名被害者の会を主催する
14人目の大山正紀	”大山正紀”の同姓同名被害者の会に参加 茶髪が印象的
15人目の大山正紀	”大山正紀”の同姓同名被害者の会に参加 中学生
16人目の大山正紀	”大山正紀”の同姓同名被害者の会に参加 研究職に就いている
17人目の大山正紀	”大山正紀”の同姓同名被害者の会に参加 野球帽をかぶっている
18人目の大山正紀	”大山正紀”の同姓同名被害者の会に参加 元サッカー部所属
19人目の大山正紀	転落死体として発見される
20人目の大山正紀	「女児殺害事件」の犯人と名乗り、コンビニで人を脅す

ここからは、一人ひとりの大山正紀を詳しく紹介していきます。

【1人目／2人目】殺された大山正紀と殺した大山正紀

物語の冒頭、大山正紀が大山正紀という人物を殺害したという事件の新聞記事から物語が始まります。

【3人目】犯人の大山正紀

公園で愛美ちゃんを付け狙い、殺害した大山正紀。「女児殺害事件」の犯人です。

逮捕され、16歳の高校生であることが判明。週刊誌によって、実名「大山正紀」が報道されます。

【4人目】サッカー部の大山正紀

サッカー部で活躍する大山正紀。名門大学への推薦の話も出ていて明るい未来が約束されているように見えますが、女児殺害事件の犯人と同じ名前だったことにより大学への推薦が取り消しに。そして、彼の人生は狂い始め…

【5人目】幼児好きな大山正紀

冬弥というTwitterアカウントを持ち、「ロリの泣き顔最高！」などと発信。また、公園で女児を眺めて楽しんでいたり、怪しげな部分を持っています。

「愛美ちゃん殺害事件」の犯人のように思わせる怪しい人物。

【6人目】コンビニバイトをしている大山正紀

コンビニでバイトをしている定時制高校生の大山正紀。平凡な毎日に飽き飽きし、何者かになりたがっています。

しかし、その願いは「愛美ちゃん殺害事件の犯人と同姓同名」という最悪な形で叶えられてしまうことに…。

犯人と同姓同名であることで仕事や転職活動がうまくいかないことに悩み、「”大山正紀”同姓同名被害者の会」を立ち上げます。

【7人目】引きこもりの大山正紀

アニメが唯一の癒しで、引きこもっている大山正紀。自分とは別の「大山正紀」にいじめられて不登校になります。

とある「大山正紀」に強い殺意を抱いています。

【8人目／9人目】1年3組と1年4組の大山正紀

学校の教室にいるふたりの大山正紀。

ひとりの大山正紀は、アニメ風のイラストを描くのが趣味。キモオタといわれ、いじめを受けています。

一方、もうひとりの大山正紀は、コミュ力があり人気者。上位互換の大山正紀です。

【10〜18人目】”大山正紀同姓同名被害者の会”に集まった大山正紀

6人目の大山正紀によって発足した「”大山正紀同姓同名被害者の会”」には、9人の大山正紀が集まります。

 9人目までの大山正紀と同一人物も含みます

【19人目】奥多摩の崖下に転落した大山正紀

奥多摩の崖下に男性の死体が発見されます。この大山正紀は、一体何者なのか!?

【20人目】コンビニで人を脅す大山正紀

「女児殺害事件」の犯人と名乗り、人を脅しているが本当に犯人…？

小説「同姓同名」をおすすめしたい人

 ミステリーが好きな人
 読み応えのある作品が好きな人
 SNSの匿名アカウントを持っている人

ページ数が多く、複雑なミステリーです。時間をかけてじっくり物語を楽しみたい気分のときに、読むのがおすすめです。

また、SNSで炎上すると噂が広がっていく恐ろしさについても描かれているのがポイント。SNSをよく使う人や知り合いに知られたくない匿名アカウントを持っている人は、共感できるかもしれません。

小説「同姓同名」の面白いポイント

ここからは、「同姓同名」の面白いポイントを紹介します。

面白ポイント①大混乱する「だまし」の多さ

「大山正紀」という名前に対して、さまざまなトリックが隠されていて何度もだまされました。

たとえば、

• 読み方の異なる「大山正紀」
• 性別が異なる「大山正紀」

など、想像していなかった角度からの大山正紀が出てくるのが面白いポイントです。

面白ポイント②読了後の後味の悪さ

正直、「読んでスッキリ！」と感じられる作品ではありません。冒頭で女児が殺害され、結末もなかなかの後味の悪さ。「イヤミス（※）」に近い内容です。

しかし、この後味の悪さが人間の嫌な部分をリアルに描いているように感じます。読んだ後に嫌な気持ちを引きずるのも含めて、楽しむといいかもしれません。

※イヤミス
ミステリー小説の1種。読んだ後に「嫌な気分」になる小説のこと。

小説「同姓同名」の感想

私も学生の頃、下の名前が同じ子がいたので、名前が一緒というだけで意識してしまう気持ちに共感できました。

もし、世間を驚かせる犯罪者と同姓同名だったとしたら…？

自分の名前を検索するたび事件のことばかり出てくると、アイデンティティを奪われたような気持ちになるかもしれません。

また、ネットの世界で自分と同じ名前の人物が誹謗中傷を受けていたら、自分のことではないとわかっていてもついつい意識してしまいます。

このように「名前が与える印象」と「SNSの怖さ」について考えさせられる1冊でした。

まとめ

今回は、「同姓同名」のあらすじや登場人物である20人の大山正紀の特徴を解説しました。登場人物が同姓同名なため混乱しそうになる場面もありますが、謎が解けたときに面白いと感じられる作品です。

途中で頭がこんがらがってきたら、一人ひとりの大山正紀の紹介を参考にしてみてくださいね。

 「同姓同名」の登場人物｜大山正紀を解説

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