2024年本屋大賞(※)にノミネートされた「黄色い家」を読んだことはありますか?
「普通の生き方から外れてしまった人たち」の生きることの難しさややるせなさについて、考えさせられる1冊です。
そこで今回は、「黄色い家」のあらすじや相関図、見どころを紹介します。600ページ越えと長めの作品なので、「読む前に事前に情報を得ておきたい」「途中で物語がわからなくなった」という人は、ぜひ参考にしてみてください。
\今回紹介する小説/
「黄色い家」とはどのような作品?
最初に、「黄色い家」のあらすじやジャンル、基本情報を紹介します。
「黄色い家」|あらすじ
十七歳の夏、親もとを出て「黄色い家」に集った少女たちは、生きていくためにカード犯罪の出し子というシノギに手を染める。
危ういバランスで成り立っていた共同生活は、ある女性の死をきっかけに瓦解し……。
人はなぜ罪を犯すのか。世界が注目する作家が初めて挑む、圧巻のクライム・サスペンス。
Amazonより引用
主人公・花は、母の知人である黄美子と出会ったことで、人生が激変します。「新しい住まい」を得て、新しい「仕事」「生き方」を知っていきます。
良くも悪くも変わっていく主人公の姿に考えさせられる…
「黄色い家」|ジャンル
「黄色い家」の物語のジャンルは、クライム・サスペンスに分類されます。
クライム・サスペンスとは、犯罪行為に関わる出来事を中心に物語が展開する作品のこと。登場人物が暴行・詐欺・殺人・窃盗などの犯罪行為に関わっていく様子が描かれるのが特徴です。
「黄色い家」でも主人公がカード詐欺の加害者になっていく姿が描かれています。
「黄色い家」|基本情報
- 著者:川上未映子
- 出版社:中央公論新社
- ページ数:608ページ
- 発売日:2024/10/02
- 価格:2,090円(単行本)
「黄色い家」は2024年に本屋大賞ノミネート、第75回読売文学賞(小説賞)を受賞しています。2024年の話題作のひとつです。
「黄色い家」の相関図
黄色い家の登場人物の相関図は、以下の通りです。
それぞれの人物の特徴については、タップすると該当箇所に飛びます。
「黄色い家」の主な登場人物
ここからは、「黄色い家」の主要人物を紹介します。
「黄色い家」の登場人物①花
伊藤花・主人公。17歳のときに母親のもとを離れて、黄美子とともにスナック「れもん」で働くようになります。
黄色い家で共同生活を送る人物のひとり。
「黄色い家」の登場人物②黄美子
吉川黄美子は、花の母親の知人。17歳の花を連れ出し、ともに生活を送ります。
「難しいことはわからない」と物事を済ませる癖あり。
「黄色い家」の登場人物③桃子
玉森桃子は、女子高生。黄色い家で、黄美子や花とともに共同生活を送る人物にひとり。
「黄色い家」の登場人物④蘭
加藤蘭は、スナック「れもん」の近くでキャバ嬢をしていたことがきっかけで花と出会います。
東京の美容専門学校に通っていましたが、3時間の通学時間に耐えられず退学。
花・黄美子・桃子とともに、黄色い家で共同生活を送ります。
「黄色い家」の登場人物⑤映水(ヨンス)
安映水(アン・ヨンス)は、黄美子の知人の在日コリアン人。賭博などで生計を立てています。
スナック「レモン」の開店準備を手伝った人物。花いわく、甲斐犬に似ているそう。
花をヴィヴィアンに紹介した人物です。
「黄色い家」の登場人物⑥琴美
琴美は、黄美子の知人。小顔で小柄な美人で、銀座のクラブでホステスをしています。
花いわく、「芸能人みたい」な美貌の持ち主。
「黄色い家」の登場人物⑦ヴィヴァン
ヴィヴァンは、映水(ヨンス)の知人。花にシノギ(カード詐欺)の仕事を与える人物。
「黄色い家」の見どころ(※ネタバレ注意)
ここからは、「黄色い家」の見どころを3つ紹介します。
ネタバレ要素も含まれているので、見たくない人は飛ばしてください!
黄色い家の見どころ①黄色
「黄色い家」のどころは、黄色。本の表紙や黄美子の名前など、あらゆるところで見られる「黄色」が物語の鍵を握ります。
風水では、黄色は金運をあらわすカラー。風水を意識するあまり、花と黄美子は黄色の小物ばかりを集めるようになります。
お金に取り憑かれていく姿が痛々しかった。
黄色い家の見どころ②お金の稼ぎ方
花は、いくつかの仕事を経験します。
- 夏休みにファミレスのバイトに明け暮れる
母親の恋人トロスケにバイト代72万6千円が盗まれる - 黄美子とともにスナック「れもん」を開業
「れもん」が火事で燃える - しのぎ(カード詐欺)の仕事を始める
花は一生懸命働いたバイト代を盗まれた経験から、お金に執着するようになります。
お金が貯まる行為に快感を覚えるようになる花は、危険な仕事へと手を染めるようになっていきます。
お金が増えるにつれ、生活だけでなく性格まで変わっていく姿が恐ろしい…
黄色い家の見どころ③優しさ
黄美子は、人より苦手なことが多いです。花は映水から、黄美子がいわゆる境界知能(※)であることを聞かされショックを受けます。
黄美子は親からまともな愛情を受けず、境界知能のため苦労もしてきました。辛い人生を送ってきたはずなのに自分のことを救ってくれた優しい黄美子を、花は「守りたい」と考えるようになります。
「黄色い家」をおすすめしたい人の特徴
ちょっぴり切ない話を読みたい人
終わった後考えさせられる作品が好きな人
花や黄美子、それぞれ「優しさ」や「相手を思いやる気持ち」を持っています。しかし間違った道へ進んでしまい、犯罪へと手を染めてしまう姿が切ない物語。
読み終わったあとも余韻が残る作品なので、考えさせられる作品を読んでみたい人におすすめです。
「黄色い家」の映画化やドラマ化はある?
「黄色い家」は2024年12月現在、映画化もドラマ化もされていません。
2024年に発売された新しい作品なので、これから映像化されるかもしれません。
【川上未映子「黄色い家」の感想・解説】まとめ
今回は、「黄色い家」のあらすじや相関図、見どころを紹介しました。
お金によって生活の質だけでなく、人格まで変わっていくことが描かれている作品です。「普通の生活」から外れてしまった人たちの無意識に犯罪に手を染める恐ろしさを感じつつ、背景を知るほど考えさせられます。
気になった人は、ぜひ手に取ってみてください。
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