「イヤミス」とは、その名の通りイヤな気持ちになるミステリー作品を意味します。人間の裏や意地悪な部分をリアルに描くのが特徴。毒々しさがクセになるのが魅力です。
そこで今回は、イヤミス作品の特徴や代表的な作家、おすすめの小説を紹介します。刺激のある読書体験がしたい人の参考になったら嬉しいです。
\イヤミスの代表作!/
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イヤミスとはどのような作品?
イヤミスとは、ミステリー小説の1種で読んだ後に嫌な気分になる作品のことです。イヤミス作品には、以下のような特徴があります。
- 女性特有の嫌な感情が描かれている
- 結末がスッキリしない
- どんでん返しがある
ひとつずつ紹介していきます。
イヤミスの特徴①女性特有の嫌な感情が描かれている
イヤミス作品には、女性特有の嫌な感情が描かれているのが特徴。
- マウントの取り合い
- 嫉妬/妬み
- 見栄の張り合い
イヤミス作品は、どこにでもいるようなイヤ〜な人物が出てきます。「こういう人いる!」と共感できるのが、面白いポイントです。
とくに女性は共感しやすいはず!
イヤミスの特徴②結末がすっきりしない
イヤミスの特徴に、後味が悪く結末がすっきりしないという特徴もあります。ミステリー小説や推理小説は、犯人が捕まり動機も分かってすっきりするのが一般的。
しかしイヤミス作品は、「実は仲間だと思っていた人の裏切り」や「実は良いキャラだと思っていた人が実際は最悪な奴だった」など、読んだ後に不快感が残る場合もあります。
心を揺さぶられる感覚がクセになるのも特徴です。
イヤミスの特徴③どんでん返しがある
イヤミスは、最後に大どんでん返しがあるケースも。「良い人が本性を見せると悪い人だった」というように、予想もしなかった裏切りがあるのが特徴です。
人は良い部分と悪い部分の両面性を持っています。人間の闇の部分をリアルに描くイヤミス作品は、人間の恐ろしさを感じられるのが見どころです。
恐ろしいけど、身近の人間関係にもありそうと思えるのがイヤミスの特徴。
イヤミス作家の三大女王
イヤミス作家の三大女王は、以下の3人。
- 湊かなえ
- 真梨幸子
- 沼田まほかる
それぞれの作家の特徴と代表的なイヤミス作品を紹介します。
イヤミス作家①湊かなえ
イヤミス作家といえば、湊かなえさん。「イヤミスの女王」ともよばれ、登場人物のリアルな心情描写や多方面からストーリーを進める作風が特徴です。
ドラマ化や映画化している作品も多く、知っている人も多い作家さんなのではないでしょうか。
ドロドロした人間関係をリアルに描く大好きな作家さんです。
イヤミスの最高傑作(代表作)は「告白」湊かなえ
湊かなえさんのイヤミスで有名なのが、デビュー作「告白」です。あらすじは、以下の通り。
我が子を校内で亡くした女性教師が、終業式のHRで犯人である少年を指し示す。ひとつの事件をモノローグ形式で「級友」「犯人」「犯人の家族」から、それぞれ語らせ真相に迫る。
Amazonより引用
イヤミスならではの不快感を体験するなら、一度読んでみてほしい作品です。イヤミスの特徴でもある「読み終わったあとも引きずる重さ」を感じられます。
イヤミス作家②真梨幸子
イヤミス作家は、真梨幸子(まり ゆきこ)さんも有名です。人の心の闇や汚い部分を描いた作品がクセになります。
また、エロティックなシーンや狂気的なシーンもありありと描くのが特徴の作風です。
怖くて気持ち悪いのになぜか笑ってしまう、「ブラックユーモア」のある作品が多く大好き。
イヤミス作家③沼田まほかる
- 「痺れる」2010年
- 「ユリゴコロ」2014年
- 「彼女がその名を知らない島たち」2017年
イヤミス作家には、沼田まほかるさんも有名です。まるで昼ドラのような歪んだ愛憎劇や復讐劇を描いた作品が特徴。
人の心の闇が引き起こすサスペンス小説に興味がある人におすすめです。
「怖いけど、読みたくなってしまう」作品ばかり!
イヤミス好きの心理とは?
イヤミスは、現実にありそうな人間関係を題材にしているのが特徴。そのため、共感しやすいのがイヤミスの魅力です。
「こういうイヤな人いるいる!」と物語に引き込まれるのがイヤミス好きの心理なのではないでしょうか。
また、人は「嫉妬」や「悪意」といった裏の感情を隠そうとするのが一般的かもしれません。人前で見せない腹黒い部分をリアルに描くからこそ、興味をそそられるのが引き込まれる理由です。
おすすめのイヤミス小説10選
ここからは、おすすめのイヤミス小説を10冊紹介します。
「リバース」湊かなえ
深瀬和久は平凡なサラリーマン。唯一の趣味は、美味しいコーヒーを淹れる事だ。そんな深瀬が自宅以外でリラックスできる場所といえば、自宅近所にあるクローバーコーヒーだった。
ある日、深瀬はそこで、越智美穂子という女性と出会う。その後何度か店で会ううちに、付き合うようになる。淡々とした日々が急に華やぎはじめ、未来のことも考え始めた矢先、美穂子にある告発文が届く。
そこには「深瀬和久は人殺しだ」と書かれていた――。何のことかと詰め寄る美穂子。深瀬には、人には隠していたある”闇”があった。それをついに明かさねばならない時が来てしまったのかと、懊悩する。
Amazonより引用
最後の大どんでん返しが圧巻!読み終わったあとの不快感はさすがイヤミス。
最後の1文まで目が離せない作品です。
ドラマ化もした人気作なので、湊かなえさんの小説を始めて読む人にもおすすめ。
「豆の上で眠る」湊かなえ
万佑子ちゃんなら、本ものの万佑子ちゃんなら
幼い頃に失踪した姉が「別人」になって帰ってきた――妹だけが追い続ける違和感の正体とは。足元から頽(くずお)れる衝撃の姉妹ミステリー!
Amazonより引用
「どちらが愛されているか」ということに対して、姉妹間の嫉妬や妬みの感情がリアルに描かれています。
兄弟や姉妹がいる人は共感できるはずなので、ぜひ読んでみてほしい!
「往復書簡」湊かなえ
手紙だからつける嘘。手紙だから許せる罪。手紙だからできる告白。
過去の残酷な事件の真相が、手紙のやりとりで明かされる。衝撃の結末と温かい感動が待つ、書簡形式の連作ミステリ。
Amazonより引用
手紙でのやりとりだけで進む物語。手紙によって、過去の出来事が明らかになります。
人によって出来事に対する捉え方が異なっていて、自分に都合のいいように記憶を置き換えてしまうことってあるあるなのではと考えさせられます。
連作短編集なので、読書が苦手な人も読みやすい。
「贖罪」湊かなえ
15年前、静かな田舎町でひとりの女児が殺害された。直前まで一緒に遊んでいた四人の女の子は、犯人と思われる男と言葉を交わしていたものの、なぜか顔が思い出せず、事件は迷宮入りとなる。
娘を喪った母親は彼女たちに言った──あなたたちを絶対に許さない。必ず犯人を見つけなさい。それができないのなら、わたしが納得できる償いをしなさい、と。
十字架を背負わされたまま成長した四人に降りかかる、悲劇の連鎖の結末は!?
Amazonより引用
15年前に殺された少女と直前まで遊んでいた4人の同級生たちがそれぞれの「償い」をする物語。
「子どもを殺された親」「事件がトラウマになった子どもたち」など、生々しい人間の内側が描かれています。かなり重めの内容なので、考えさせられる作品を読んでみたい人におすすめです。
「夜行観覧車」湊かなえ
高級住宅地に住むエリート一家で起きたセンセーショナルな事件。遺されたこどもたちは、どのように生きていくのか。その家族と向かいに住む家族の視点から、事件の動機と真相が明らかになる。
Amazonより引用
人間関係がドロ沼な小説といえば、「夜行観覧車」。周囲から憧れられるような幸せな家族に、実は裏があり…。
「偽りの幸せ」を作っていた嘘が崩壊する様子を描いた作品です。
外で見せる顔と家族内で見せる顔って違いますよね…。
「方舟」夕木春央
極限状況での謎解きを楽しんだ読者に驚きの〈真相〉が襲いかかる。
友人と従兄と山奥の地下建築を訪れた柊一は、偶然出会った家族と地下建築「方舟」で夜を過ごすことになった。翌日の明け方、地震が発生し、扉が岩でふさがれ、水が流入しはじめた。
いずれ「方舟」は水没する。そんな矢先に殺人が起こった。だれか一人を犠牲にすれば脱出できる。タイムリミットまでおよそ1週間。
生贄には、その犯人がなるべきだ。――犯人以外の全員が、そう思った。
Amazonより引用
地下に閉じ込められた人々。脱出するには、誰かの犠牲が必要です。
誰を生贄にするかの心理戦に人間のイヤな部分があらわれています。
まさかの裏切りもあって、最後まで楽しめます。
「ナイルパーチの女子会」柚木麻子
商社で働く栄利子は、お気に入りの主婦ブロガー・翔子と出会い意気投合。だが距離感をうまくつかめない二人の関係は徐々に変化して。
Amazonより引用
同性とうまくいかない女性って、周りにいませんか?この作品は、女性同士の友人関係のモヤっとする部分をリアルに描いています。
他人と自分を比べて、ついつい嫉妬してしまうという人は共感できるかも。
「森に眠る魚」角田光代
東京の文教地区の町で出会った5人の母親。育児を通してしだいに心を許しあうが、いつしかその関係性は変容していた。
あの子さえいなければ。私さえいなければ…。凄みある筆致であぶりだした、現代に生きる母親たちの深い孤独と痛み。衝撃の母子小説。
Amazonより引用
子どもに「小学校のお受験」をさせたい母親たちを描いた作品。自分の子どもと他人の子を比べて、嫉妬したり妬んだり。
子どものお受験がいつしか、母親同士の見栄の張り合いへとつながっていきます。
人の意地悪な部分をリアルに描いた作品を読んでみたい人におすすめ。
「誰かが見ている」宮西真冬
ある夕方、保育園から榎本千夏子に一本の電話が入った。「夏紀ちゃんがいなくなりました」なんと、千夏子の子が保育園から消えたという。
不安を募らせる千夏子のもとに、二本目の電話が。
その電話は<彼女>からのものだった――。
4人の女性が抱える「女」としてのジレンマを鮮烈に描き切った究極のサスペンス!
Amazonより引用
「子ども」に対して、別々の立場から悩みを抱える女性の話。「子どもが授かれない」「子育てが思い通りにいかない」など、女性ならではのジレンマがリアルに描かれています。
20代後半〜30代の人は、共感しやすい内容かも!
「ハピネス」桐野夏生
高級タワーマンションに暮らす岩見有紗は窒息寸前だ。
ままならぬ子育て、しがらみに満ちたママ友たちとの付き合い、海外出張中の夫・俊平からの離婚申し出、そして誰にも明かせない彼女自身の過去。
軋んでいく人間関係を通じて、徐々に明らかとなるそれぞれの秘密。華やかな幸せの裏側に潜む悪意と空虚を暴き出す。
Amazonより引用
高級タワーマンションに住むママ友たちの関係を描いた作品。
自分をよく見せようとするあまり本性を見せなかったり、自分より格下と思った人を味方に付けて仲良くしようとしたり、女性特有のイヤな部分がリアルに描かれています。
まとめ
今回は、イヤミス作品の特徴や代表的な作家、おすすめの小説を紹介しました。
人間の闇の部分をリアルに描いたイヤミス作品は、怖いけど読みたくなるのが魅力。身近にありそうな人間関係だからこそ、共感しやすいのも特徴です。
重たい内容の作品が多いので好みが分かれるかもしれません。しかし、「心が揺さぶられる読書体験がしたい」という人は、ぜひイヤミス作品に挑戦してください。
記事内でおすすめのイヤミス作品もいくつか紹介したので、参考になったら嬉しいです。
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