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朝井リョウ「生殖記」のあらすじと見どころを解説!前作の「正欲」も紹介

朝井リョウ「生殖記」のあらすじと見どころを解説!前作の「正欲」も紹介
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朝井リョウさんの「生殖記」を読んだことはありますか?独自の視点で現代社会の問題が描かれていて、読んだあとも考えさせられる作品です。

そこで今回は、「生殖記」のあらすじ見どころについて紹介します。「朝井リョウさんの最新作が気になる」「重めの小説が好き」という人は、ぜひ最後まで読んでみてくださいね。

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筆者の本の好みについてまとめた画像
目次

朝井リョウ「生殖記」あらすじ【ネタバレなし】

実際の「生殖記」の表紙の画像

とある家電メーカー総務部勤務の尚成は、同僚と二個体で新宿の家電量販店に来ています。

体組成計を買うためではなく、寿命を効率よく消費するために。

この本は、そんなヒトのオス個体に宿る〇〇目線の、おそらく誰も読んだことがない文字列の集積です。

※Amazonより引用

物語が第三者目線で物語が進むからこそ、客観的に人間社会について考えさせられるのがこの作品の面白いところです。

前作の「正欲」に続いて、朝井リョウさんの作品は多様性について考えさせられます。

朝井リョウ「生殖記」の見どころ

次に、「生殖記」の見どころを紹介します。

見どころ①語り手がまさかの〇〇

実際の「生殖記」の帯の画像

この作品を最初読んだとき、最初は違和感を覚えます。それは、語り手が主人公・尚成(しょうせい)に宿る「生殖本能」目線で物語が進んでいくからです。

物語の設定がぶっとんでいて理解するのに時間がかかりますが、共感できる部分が多いのがこの作品の魅力。

語り手は冷静な視点を持ちながら、尚成の生き方をじっくりと見守る存在として物語の鍵を握ります。また、尚成の抱える悩みが現代社会を生きる私たちの姿と重なるのがポイント。

生きているなかで「しっくりこない感覚」を物語を通じて第三者の視点で考えさせられるのが、「生殖記」の見どころです。

見どころ②客観的視点で描かれている

実際の「生殖記」の表紙の画像

主人公に宿った生殖本能目線で進む「生殖記」は、生物学的な視点で描かれているのがポイントです。たとえば、物語のなかでは「男性」や「女性」を「オス」「メス」、「登場人物」のことを「個体」と表現します。

性別や人物像に縛られることなく、第三者の客観的な視点で人間社会を見つめ直すことができる点が見どころです。

見どころ③現代社会への問題提起

実際の「生殖記」の帯の画像

この物語のキーワードのひとつに、「共同体感覚」という言葉があります。共同体感覚とは、どの共同体も「拡大」「発展」「成長」を目指して活動しているということ。

つまり、ヒトがほかの動物と異なるのは、ただ発生して消滅するのではなく今よりもっとを追求し続ける」生き物だということを問題提起しています。

そのような社会のなかで、主人公・尚成は「マットレスに手を添えたまま力を込めずに運ぶ」という共同体感覚にそぐわない生き方をしています。

そこで考えさせられるのが、人によっては共同体感覚に苦しめられる場合もあるということ。たとえば、セクシュアルマイノリティで子孫を残すことができない人、出世欲がない人などです。

「上を目指して生きるなかで、その先にあるものは一体何なのか」について、考えさせられます。

いっそのこと、「共同体感覚を捨てて生きられたら楽なのに」とも思ったり。

朝井リョウ「生殖記」|基本情報

実際の「生殖記」の中表紙の画像
  • 著者:朝井リョウ
  • 出版社:小学館
  • ページ数:290ページ
  • 発売日:2024/10/02
  • 価格:1,870円(単行本)

「正欲」から3年半ぶりとなる朝井リョウさんの最新長篇作。朝井リョウさんの作品が好きという人は、気になるのではないでしょうか。

朝井リョウさんの作品の特徴
  • 社会の違和感を浮き彫りにする重めのテーマが多め
  • 10〜20代の焦燥感や葛藤を描いている
  • 読者の実体験を思い起こさせるような共感性の高い作風
    └現実と理想のギャップを抱える苦悩や孤独など

朝井リョウ「生殖記」|おすすめしたい人

実際の「生殖記」の背表紙の画像

仕事は最低限しかやりたくない
生きる意味や価値に悩むことがる
「みんなと同じ」がしっくりこない
社会の価値観に疑問を感じる

この本を一言で表すと、「どうしてこの社会は成長ばかり求めるのか」について描かれています。

成長ばかり求められる環境に限界を感じている主人公・尚成の悩みが、社会に疑問を抱いている人マイノリティな人には共感できるかもしれません。

また、変わった視点から物語が描かれているのもこの作品の特徴。これまでにない新しい読書体験を求める人にもおすすめしたい作品です。

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あわせて読みたい!朝井リョウ「正欲」あらすじ

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「生殖記」を読んで朝井リョウさんの世界に魅了された人は、前作の「正欲」もおすすめです。「生殖記」同様、「正欲」も多様性やマイノリティの立場の人を描いています

「正欲」のあらすじ

息子が不登校になった検事・啓喜。初めての恋に気づいた女子高生・八重子。ひとつの秘密を抱える契約社員・夏月。ある人物の事故死をきっかけに、それぞれの人生が重なり合う。

しかしその繋がりは、「多様性を尊重する時代」においてひどく不都合なものだった。

「生きづらさ」を感じている人には、きっと共感できる作品!

まとめ

「生殖記」の感想をまとめた画像

そこで今回は、「生殖記」のあらすじ見どころについて紹介しました。いままでに読んだことがないような視点での物語の進み方が面白い作品です。

社会生活を送るなかで、「自分は頑張れていない」と落ち込んだときに勇気がもらえそうな作品だと思いました。

気になる人は、ぜひ手に取ってみてくださいね。

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