今回紹介する小説は、湊かなえさんの「C線上のアリア」。ミステリーと介護を掛け合わせた読み応えのある作品です。
親の介護を経験した人はもちろん、若い世代の人でも祖父や祖母のことを想像して読める1冊。あらすじや登場人物、面白いポイントについて紹介します。
\今回紹介する小説/
「C線上のアリア」のあらすじ

両親を亡くし、叔母のもとで育った美佐。
しかし、叔母が認知症になったと知り、久しぶりに育った家に帰ることになる。かつて丁寧な暮らしをしていた叔母の家は、ゴミ屋敷となっていた。
美佐は、叔母の家を片付けるなかで、開かずの金庫を発見する。
そこから明らかになる、家族さえも知らなかった叔母の過去とは…?
この作品のテーマは、「介護×ミステリー」です。
介護を通じて叔母の過去と向き合うことになった主人公。叔母の過去が明らかになるうち、ひとりの人生を見た気分になれる読み応えのある作品です。
タイトル「C線上のアリア」の込められた意味

「C線上のアリア」は、バッハの代表曲である「G線上のアリア」をもじって付けられたのではないかと考えられます。「G線上のアリア」は、ヴァイオリンのG線だけで演奏できる曲として有名です。
しかし、ヴァイオリンにC線は存在しません。C線でアリアを奏でるとはどういうことなのでしょう。まったく架空の世界を表しているのかもしれません。
また、「C」に関連するキーワード「Care(介護)」「鎖(Chain)」「体系(Code)」は、物語のなかで大きな鍵を握っています。これらのキーワードをタイトルから連想させているのかもしれません。
「C線上のアリア」の相関図

「C線上のアリア」の主な登場人物の相関図です。物語は、主人公・美佐の視点で進んでいきます。また、弥生の過去が物語の鍵を握るのがポイントです。
「C線上のアリア」の登場人物
ここからは、「C線上のアリア」の登場人物の特徴を紹介します。
登場人物①美佐
主人公。彼女の一人称で物語が進んでいく。両親を亡くし叔母(弥生)のもとで学生時代を過ごす。
登場人物②弥生
美佐の叔母。認知症の症状が出始めている。
かつては丁寧な暮らしをしていた彼女だが、病気の影響で家がゴミ屋敷になっている。
登場人物③邦彦
美佐の元彼。叔母の家に帰ってきた美佐と再会を果たす。
上巻と下巻がある小説は、下巻のみ読むタイプ。
登場人物④菜穂
邦彦の妻。邦彦との結婚生活に不満を抱いている。
登場人物⑤菊枝
邦彦の母。若い頃、弥生と英会話教室が同じで仲がよかった。弥生からは「デイジーさん」という愛称でよばれていた。
「C線上のアリア」の面白いポイント

「C線上のアリア」の面白いポイントは、介護とミステリーを掛け合わせているところ。介護には、その人の人生を「紐解く」要素があります。物語では、弥生の人生のターニングポイントがいくつか明らかになるのがポイントです。
家族の知らなかった過去を知ったとき、あなたはどう感じますか?とくに年の離れた家族なら、若い時代をどのように過ごしたのか知らないことも多いかもしれません。祖父や祖母のことを想って読める1冊です。
「C線上のアリア」基本情報

著者 | 湊かなえ |
出版社 | 朝日新聞出版 |
ページ数 | 352ページ |
発売日 | 2025年2月7日 |
価格 | 1870円 |
朝日新聞で連載されていた物語が2025年に書籍化した作品。ミステリー好きな人にぜひおすすめしたい1冊です。
「C線上アリア」の文庫本はある?
「C線上のアリア」は、現在文庫化していません。(2025年4月現在)
発売されたばかりの書籍なので、今後文庫化することもあるかもしれません…!
「C線上アリア」の口コミ
最後に、「C線上のアリア」に関する口コミをいくつか紹介します。実際に読んだ人の感想を見て、自分の好みに合いそうな作品か検討してみるのがおすすめです。

女の懐の深さと怖さと盛りだくさん
湊さん初の介護小説。最後まで真相がわからないのでドキドキしながら一気に読みました。
7人のお客様がこれが役に立ったと考えています
引用:Amazon



先生の描写が沁みるんだ
湊かなえ先生の作品が大好きです。今回も夢中で読みました。
3人のお客様がこれが役に立ったと考えています
引用:Amazon



面白かったけど
今までの湊さんの感じからするとかなりソフトな読み心地でした、わたしにとってもう少しドキドキしたかったかな
引用:Amazon



まだ途中ですが…
旅行先で時間あるので購入しました。
読んでみると今現在の日本に良くある介護の話かなと思っているとその内容にずるずる引き込まれ、結構歩いて疲れて居るのに読んでしまいました。
個人的に学生の時読んでたら村上春樹作品の名前が出ると嬉しいですし、なんか懐かしい気もします。
引用:Amazon
湊かなえさんの最新作ということで、期待して読んだという口コミが見られました。湊かなえさんの作品といえば、後味の悪さが特徴の「イヤミス」です。
しかし、今回の作品はイヤミス要素が少なめなのがポイント。刺激の強さを求めている人は物足りなさを感じるかもしれませんが、ほっこりできる部分があるのもまた違ったよさがあります。
まとめ


今回は、「C線上のアリア」のあらすじや登場人物、面白いポイントについて紹介しました。認知症となった叔母の過去を辿ることで、ひとりの人生を見たような気分になれる読み応えのある1冊です。
興味がある人は、ぜひ手に取ってみてください。
\今回紹介した小説/