人気小説紹介クリエイター・けんごさんのtiktok動画が150万回以上再生され、SNSを中心に注目を集めている「人間みたいに生きている」。
私もtiktokで気になって、作品を手に取ってみました!
「食べることを幸せと思えない」女子高生が主人公の物語です。自分の苦手なことが人に理解されにくいと、生きづらさを感じてしまいますよね。この作品は、「〇〇するのがしんどい」という感情から解放してくれる1冊です。
そこで今回は、「人間みたいに生きている」のあらすじや伝えたい事、おすすめしたい人について紹介します。気になる人は、ぜひ最後まで読んでみてくださいね!
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「人間みたいに生きている」とはどのような作品?
最初に、「人間みたいに生きている」の作品情報を紹介します。
「人間みたいに生きている」|著者
「人間みたいにいきている」の著者は、佐原ひかりさん。生きづらさを抱える人々の心を繊細に描く作風の作家さんです。
「人間みたいに生きている」は、デビューから3作目。デビュー作は、「ブラザーズ・ブラジャー」です。デビュー作では、第2回氷室冴子青春文学賞大賞を受賞しています。
「ブラザーズ・ブラジャー」は、主人公の女子高生の弟がある日ブラジャーを胸にあてている姿を見てしまったというものらしい…気になるので読んでみたい!
「人間みたいに生きている」|あらすじ
食べることそのものに嫌悪を覚えている女子高生・三橋唯。「食べること」と「人のつながり」はあまりに分かちがたく、孤独に自分を否定するしかなかった唯が初めて居場所を見つけたのは、食べ物の匂いがしない「吸血鬼の館」だった──。
Amazonより引用
主人公の三橋唯(みつはしゆい)は、食べることに対して嫌悪感を抱いています。しかし、親や友達に知られたくなくて無理矢理食べ物を口に運ぶ毎日。
「口は穴だ。顔に空いた穴。備え付けの歯と舌を駐使し、自分に自分以外の何かを取り入れるための穴。今日も無数の死骸をここに入れ、ねぶり、砕き、噛みちぎり、飲み込んだ。」(本文より)
食欲がなくなる描写がすごい…
「食事=幸せ」という楽しいイメージがある世間のなかで生きづらさを感じていた唯は、病気で血しか吸えない男と出会い自分を許せるようになっていきます。
「人間みたいに生きている」|ジャンル
「人間みたいに生きている」のジャンルは、青春小説。青春小説とは、恋愛・成長・家族・友情・学校・将来など、若年期特有の体験を描いた物語です。
唯は、友達付き合いのために昼休みは友達と一緒に無理してお弁当を食べています。また、友達からもらったお菓子を気づかれないように捨てている様子が印象的です。
本書でも、周りと協調することを求められる学校生活ならではの雰囲気がリアルに描かれています。
友達や親との関係など、女子高生のあるあるが描かれているのも見どころです。
「人間みたいに生きている」|出版社
「人間みたいに生きている」の出版社は朝日新聞出版。そのほかの基本情報は以下のとおりです。
- 出版社:朝日新聞出版
- ページ数:232ページ
- 発売日:2022/09/07
- 価格:1,760円(単行本)
また、表紙買いしたくなるような繊細なイラストにも注目です。
光の感じや髪の毛の細かさなど、すごく綺麗なイラスト!
「人間みたいに生きている」登場人物
ここからは、「人間みたいに生きている」の主な登場人物を紹介します。
登場人物①三橋唯
主人公の・三橋唯(みつはしゆい)。「食べること」に嫌悪感を抱く女子高生。自分と社会の不一致に苦しんでいて、自分自身を否定する毎日を過ごしています。
登場人物②泉
「吸血鬼の館」と噂される洋館にひとりで暮らす金髪の美しい男性・泉(いずみ)。血液しか口にできない遺伝性の病気を抱えています。
「人間みたいに生きている」の伝えたい事とは?
この作品を読んでみて「人間みたいに生きている」の伝えたいことは、「普通」とは何を基準にしているのかということだと感じました。
唯は食事に対して嫌悪感と抱く自分と、病気で食事ができない泉に共通点を感じます。しかし泉にとっては、嫌悪感を抱きながらも食べ物を口に入れられる唯は、「普通を装える」ため自分と全く同じとは思えません。無理にでも食事ができる唯は、泉から見れば「普通」なのです。
このように普通の基準は人によって異なるからこそ、何事も当たり前として人に押し付けないようにしたいと考えさせられます。
「人間みたいに生きている」をおすすめしたい人
人に理解されにくい生きづらさを感じている人
飲み会/食事会が苦手な人
「美味しく食事ができない」自分を責め続けていた主人公が自分を許して前を向こうとする姿は、世間でいう「普通」があわない人にとって背中を押されます。
また、食べることに嫌悪感を抱く主人公の考えは、大人数の飲み会や食事会が苦手な人にも通ずる部分があります。
「不便だからどうにかしたい。飲み会も接待も結婚式もコース料理まみれだ。誰かと食えないってのは社会生活に支障をきたしすぎる」(本文より)
本文中のこちらの部分。共感できる人もいるはずです。
食事をすることで仲が深まるっていう考えが、会食恐怖症(※)の人にとっては苦痛で仕方ない場合もあります。このように周りが楽しむ風潮のなか、自分だけしんどいと感じてしまう人の気持ちを軽くしてくれる1冊です。
まとめ
今回は、「人間みたいに生きている」のあらすじや伝えたい事、おすすめしたい人について紹介しました。「理解されにくい苦手なことがある人」や「普通のことができないと悩んでいる人」にぜひ読んでみてほしい作品です。
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